なんてことはない話
いつも仕事や英語などの意識高い系(?)の話とか、子育て系の真面目な話を多く書いてきたせいで、自分のブログなのに「高尚なネタが無いと書いちゃいけない」ような気持ちになっていました。
でも、ほぼ自宅でフリーランスの私に、そうそう高尚なネタなど降ってきません。むしろあるのは、日々の不安やドス黒い感情ばかり。黒い感情も1年くらい溜まり続けると、ついブログに吐き出してしまうくらいのエネルギーに変換されることもあるんですが(下記ブログ参照)、まぁ大抵は半減期1日くらいです。
というわけで、たまには息抜きに「なんてことはない話」を書きます。最初に言いますが、特に有益な情報は無いです。でも何かアウトプットしないとモヤモヤしてしまうので、ゴミみたいな内容ですが、それでも良ければお読みください。m( )m
クラウドの人
何度かイベントでお話をさせてもらったり、コミュニティ活動で色々関わってきたこともあり、初対面で会った方に自己紹介をすると、既に認知してもらっている事が何度かありました。
そういう時は大抵、8割の確率で「AWS方面の人」「クラウドの人」と認知されていて、残り2割は「デザイナ」という感じです。すごくありがたいんですが本業はそこじゃないので、自分の至らなさを思い知るわけです。(一応フロントエンドの人だと自分では思っています)
自分が発信している内容が主にそっち寄りだったり、デザインワークでコミュニティに参加している事が多いので自業自得なんですが、なぜ私は自分の本業での発信が少ないのかというと、まぁ自信がないからです。ぶっちゃけました。自信がありません。
本業で自信がないくせに興味は多方面にあり、AWSのユーザーグループで色々やってるのも、業務ではなかなかクラウドに直接関わりが持てないので、コミュニティを通して情報を収集するキッカケを作っているような感じです。その延長で情報発信するのは何も抵抗がないくせに、本業のほうではどうしても勇気が出ない。なんでだろうねこれ。
で、どうしたいの
「プロジェクトを複数掛け持ちするということ」のブログを書いた時から・・・いや正確にはもっと前から考えていたことが、時間の経過と共に少しずつ大きくなってきた感じですが、そろそろ私は次のステージに行きたいのです。次のステージというのが何かについては、具体的に言える時が来たら書きたいと思います。
ただ、人生は思い通りに行かないことのほうが多いし、挫折もたくさんしてきたので、仕事以外のことも色々迷いまくっていました。母親としても。
んで、今日たまたま見掛けたこちらの記事
「そこから学んだのは、成長と心の安らぎは同時には得られないということです」と彼女は言う。
「誰だってどんな国でも企業でも、それは同じです。自分が成長するのはどんな時か、考えてみれば分かるでしょう。それはリスクをとって新たな物事にチャレンジする時なのです」とロメッティは語った。
これを読んで、あぁこれだったのか!と。膝ポンおよび目から汗ですわ。
私は成長と心の安らぎの両方を得ようとしていて、でもその答えが見つからなくて迷っていたんだな、と。リスクを取らない事ばかり考えていたんだな、と。
その気付きがあった事が、今日一番の収穫でした。というわけで、お昼休みが終ったので仕事に戻ります。
技術ブログの翻訳をしてみて思ったこと
前回のヒアリングネタに引き続きですが、先日、英語の技術ブログを翻訳致しました。(仕事ではなく完全に趣味の範囲です)
10月1日に行われたServerlessConf Tokyoで、スピーカーとして来日していたAlexのブログ記事を見て、とても素晴らしい内容だったので、翻訳してみたいと思ったのがキッカケです。
語学の学習は継続が大切ですが、これまで何度も「やるぞ!」と思ってもなかなか継続せずで、どうしたら長続き出来るのか?が永遠のテーマです。
その一環として初めて翻訳をしてみたのですが、前回書いたヒアリングと同じで、自分が興味ある内容だと苦痛じゃないんですよね。むしろとても楽しかったです。
今回翻訳してみて
感じたことを書くと
- 興味ある技術内容を選べば、業務にも役立つ。
- 執筆者本人にも結構喜ばれる(場合によってはNGかもですが)
- 公開することが1つのゴール、およびモチベーションになる
- 公開後に反応があると次のモチベーションに繋がる
- 記事への反応を執筆者にフィードバックすれば、きっと喜ばれるはず(マサカリは悩むけど…)
このようにメリットが多いので、これ最高じゃない?と思ったのです。特に翻訳中は、言及されている技術分野についてある程度自分でも調べないと、英語表現では意味が分からない事が結構出てきました。なので、時間は多少掛かるんですが、その分とても勉強になりました。(そして5番のフィードバックはまだ出来てません…汗)
ただ、気を付けたほうがいいな、と思った幾つかの事についても書いておきたいと思います。
1. スラングが多そうなものは避ける
上級者でないうちは、スラングが多そうな記事は避けたほうがいいと思います。でも、初心者だとスラングが多いのかどうかも判断付かないですよね。なので、個人のブログよりは、法人サイト内に掲載されているブログを選ぶのが無難ではないかと思います。
2. 長文は慣れてから
これ今回の私の反省なんですが、見てもらえれば分かるように超長文です。日本語で読んでも長いなって感じるくらいですから、翻訳している最中は出口の見えないトンネルがずっと続いているような気分でした。途中で挫折しないためにも、最初はライトなものから始めるのが良さそうです。
3. まったく知識がない分野は上級者になってから
専門用語の表現がなかなか難しいです。言及されている技術に対して知識がゼロだと、これは専門用語だとすら気付けない場合もあります。最初のうちは、自分がよく理解している分野から手を付けるのが良いと思います。
4. 翻訳許可を取るタイミング
本人に許可を貰うのは、ほぼ翻訳が終ってからにしましょう。翻訳してもいい?なんて聞いておきながら、途中でやめちゃったり、何日も掛けてモヤモヤさせるのは失礼ですよね。
さいごに
今回、公開許可を貰うにあたって、ドキドキしながら本人にTwitterで話し掛けてみたところ、快諾してくれました。
hi @bump_of_kiharu! for sure, let me know when it's ready! I'm also working on a new article about @AzureFunctions and @openwhisk :)
— Alex Casalboni (@alex_casalboni) 2016年10月18日
その後、実際に翻訳記事をアップしたら彼も拡散してくれて、私が反応のあったツイート(日本語)をリツイートするとファボしてくれたりと、なんだかちょっとワクワクした数日間でした。
もし翻訳をしなかったら、このような縁は生まれなかったんだなと思うと、ちょっと大げさですが感動した私です。
【小ネタ】技術者向け:英語のヒアリング勉強法
この仕事をしていると、ドキュメントが英語というのは普通によくあることなので、読むのはさほど苦痛ではなくなってきましたが、ヒアリングやライティングについては全然自信がありません。(読むのも自信があるわけじゃないですが)
11月に海外遠征に行くにあたり、全編英語セッションなのでせめてヒアリングをどうにかしたいと思っているんですが、TOEICの試験対策みたいな勉強をしてても非常にツマラナイし続かないので、どうしようかなぁと思っていたところ、お金もかからず、楽しみながら、かつ技術的な知識にも触れられる方法があるじゃん!と気付きました。
例えばこういう動画です。PCで見るほうが良いです。
歯車アイコンのところをクリックしてみてください。「字幕」というメニューがあるのが分かるかと思います。これで「英語-cc」にすると英語での文字起こし字幕が表示されます(自動文字起こしではなく、おそらく人間による文字起こし文章)。また、「日本語」にすれば日本語字幕が出ます。
すべての動画がこうなっているわけではないですが、YouTubeのGoogle developerアカウントでアップされた動画の中には、日本語で字幕表示されるものが結構多くあります。(Android developerアカウントとか他にも幾つかGoogle関連アカウントがある)
何がいいって、ヒアリングの答え合わせが出来ることです。最初は音だけ聞いて、次に英語字幕を見て聞き取りの答え合わせ。ここで意味が分からなければ、最後に日本語訳まで見る、という流れ。
英語/日本語の字幕を切替える作業だけが面倒なんですが、この勉強法だと英語だけでなく技術情報も一緒にインプットできるので、なんだかお得感があるんですよね。
ちなみに、YouTubeには便利なショートカットがあって、一時停止/再生、5秒巻き戻し/スキップ、などがキーボードで出来ます。このショートカットを使うと、何度でも同じフレーズを聞けてとても良いです。(逆にこれを知らないと異常に面倒くさい)
他にも楽しみながら勉強法があったら、ぜひ教えてください!
【小ネタ】Macで画面操作の動画キャプチャを取ってmp4変換する最もお手軽な方法
新たにツールをインストールとかしないで、Mac標準のツールでやりたい場合の(おそらく)最もお手軽な方法。(だと思う)
iMovieとか使えば出来るのかな?と思ったのだけど、よく分からなかった…やり方を知ってる人がいたら教えていただけると嬉しいです m( )m
早速ですがやり方。
QuickTimeで動画キャプチャを取る
Mac OS X で動画のスクリーンキャプチャを撮る方法 - maruko2 Note.
手順は上記サイトに書いてありますが、QuickTimeで撮影するのが最も簡単じゃないかなと思います。実際こちらの動画はQuickTimeで画面の一部領域だけを指定して撮影しました。
この3連休にVue.jsで作ったもの。vuex / vue-router / vue-mdl / animation.css あたりを使ってみました。UIを考えるのに一番時間かかった。。。 pic.twitter.com/kbWlTOwMlP
— HAL ( ˘ ³˘)♥ 量産型 (@bump_of_kiharu) 2016年9月19日
再生箇所のトリミングとか、最低限のことならQuickTimeだけで出来ます。 ただし、ファイル形式がmovだしファイルサイズもかなり大きなものに。そこでmp4変換します。
mp4に変換する
Macで簡単に出来ないか、ちょっと検索してみた。
ツールを使うものはたくさん出てくるんだけど、新規にインストールするのとか面倒。オンラインで出来るものもありそうだけど、ユーザー登録するのもめんd(ry
…なので、もっと手軽に出来ないのかなと思ったところ閃いた。
もしかしたらだけど、Facebook使えるんじゃね??
■手順(PC上での操作を想定)
- 新規投稿でmov動画ファイルを選択
- 公開範囲を「自分のみ」にする(公開してもOKならこれは不要)
- Facebookが動画の処理をするのを待つ(短い動画なら30秒程度)
- 処理完了通知が来たら、投稿の動画オプションに「動画のダウンロード」があるのでそれを選択(下図参照)
これだけで出来た。超簡単!!! mov形式だとTwitterに載せられないけど、mp4ならイケル。
Facebookだと動画の長さとかファイルサイズに制限あるのかもだけど、この程度の動画だったら超お手軽に出来るのでオススメです^^
お掃除隊長までの道のり(補足編)
昨日のブログの反応が色々あったので、補足を書きました。
土台作り
娘は今5歳ですが、うちでは2歳からお手伝いをする習慣がありました。おそらくこの土台があったからスンナリ行ったのだと思います。
最初はまず自分の食べた食器を片付けるところから始まりました。これは2歳からやってました。洗濯物を畳むのも3歳から毎日一緒にやっています。これらは保育園側で習慣になっていたのもあり、自分からやると言い出した感じです。
4歳になってからは、ご飯支度、床掃除、猫の餌やり、と一通りの家事を一緒にやっています。もしこれまでそういった習慣があまり無いのであれば、まずは普通にお手伝いをさせるところから始めて、家事を覚える土台作りが必要だと思います。
誉めるより共感
家事を教える時の言葉がけについて。
「お掃除上手に出来たねー!」と誉めてヤル気を出させるのも多少は必要だと思うのですが、それよりも「掃除をしたらお部屋が綺麗になってとっても気持ちがいいねぇ〜!」という気持ちを伝えたり、共感を得ることに気をつけるようにしています。
誉めてばかりいると、誉められたくてやるという行動に繋がってしまうので、「誉められたいからやる」「怒られたくないからやる」ではなく、「掃除をすると部屋が綺麗で気持ちがいいからやる」という思考回路を育てるような言葉を心がける。
このおかげで、たまに何も言わなくても自らお片付けをすることがあり、その時はちょっと感動します。(毎日じゃないんですけどね・・・汗)
完璧は求めない
慣れてきたら思い切って全部任せてみる。大人でも一緒だと思うんですよね、いちいち口を出されたら嫌になってしまう。
子供も「大人みたいに自分でやりたい!」と思っているし、出来たと思える体験が大事。
なので、子供でも使えるような道具をなるべく揃えてあげたいなと思います。モップは長さを調整できるものを使ったり。掃除機はハンディタイプがあると、子供でも持てるのでオススメです。^^
一時期、干し方や掃除の仕方を細かく教えていたのですが、娘から「めんどくさい!ママがやって!」と言われて反省しました。今はまだ、完璧さより習慣化することを優先すべきでした。(-_-;;
さいごに
今、娘は保育園で将棋に夢中なのですが、小学生になってから初めて将棋を覚えた私は大変びっくりしました。未就学児でもあんな複雑なルールを覚えられるのか、と衝撃でしたが、先生いわく上達も早いし強いとのこと。
そんなこともあり、意外と親が「まだ無理だから」と決めつけてしまって、子供の可能性を制限してしまっているのかもな、と。なので、思い切って色々任せてしまうことにしました。
でもおそらく色々失敗もすると思うので(娘も私も)、娘がもう少し大きくなったら振り返りのKPT(Keep/Problem/Try)を週1でやれたらいいなぁ〜などと思ったりしています。
「お手伝い」と言うのはやめよう
週末に夫が仕事で不在だったため、娘と二人で過ごしていました。
色々と家事が溜まっていたので、娘に「洗濯物干すの手伝ってね」と言ったところ、光の速さで「やだ!テレビ見たい!」と。。。(;´Д`)
まぁそりゃそうですね、、、私だって可能ならやりたくないわ!
(補足)
ちなみに我が家ではリアルタイム放送のテレビはほぼ見せてません。録画してあるNHKの特定の番組 or プリキュアだけ見ることを許しています。 そのせいで娘は、テレビ番組は必ず一時停止 + 早送り/巻き戻しができるもんだと思い込んでおります…(汗)
洗濯隊長
でも、洗濯/食器洗い/掃除/猫の世話…と家事は盛りだくさん。そして、家事くらいやって当たり前の5歳になりました。ここは怒りをぐっとこらえて
「今から洗濯隊長に任命します! さぁ隊長、ご指示を!!」 (`・ω・´)ゞビシッ!!
と言ってみました。一瞬で娘の目付きが変わります。ママゴトの延長みたいなものだと思ったのかもしれません。
私 「さぁ隊長、洗濯をするにはまず何からやったらいいでしょうか?」 娘 「早速干しに行きましょう!」 (←チョロい) 私 「了解です!でも隊長、前に干した洗濯物が掛かったままで、このままでは干す場所がありません!」 娘 「じゃあまず畳みましょう!」 私 「了解です、隊長!」
・・・とんだ茶番ですが(笑)、先ほどまでテレビが見たいと駄々をこねていたのが嘘みたいに、キビキビ動き出しました。しかし、このままだと洗濯を干し終わったらまた「テレビ〜〜」となるのは目に見えていたので
私 「隊長!洗濯以外にもやることが色々あるようです。何をしなくちゃいけないか、紙に書いてみませんか?!」 娘 「分かった!」 → 自由帳にいそいそ書き出す 私 「こんなにもあるのですか・・・(´Д`)ハァ」(あえて溜息までつく) 娘 「大丈夫、1つずつ頑張ってやりましょう!」 私 「分かりました隊長!」
こうして、予定していた家事を一緒にこなす事に成功しました。終った後は娘から、頑張ったご褒美シールまでもらいました(笑)
「お手伝い」って言うのをまずやめよう
「お手伝い」って呼ぶから『自分の本来の仕事ではなく手伝わされてる感』が出てしまう。娘も「お手伝い」だと思っているから嫌々だし、ご褒美を要求するなど全てが悪循環。
「お手伝い」ではなく『自分がやらなければいけない』と思わせること。家事は親がやるもので自分は補佐、という認識を改めさせるのが大切で、その最初の一歩として「お手伝い」という表現をやめることがまず必要だと思いました。
むしろ、子供が指揮を取り、親が手伝わされる側になるくらい、立場を逆転させてしまっても良いのではないかな、と思うのです。
自覚と提案
でも、まだ5歳だからこんな茶番も通用するんでしょ?というのは確かにそのとおりだと思います。だから今のうちにしっかり自覚させるのが大切。「自分が掃除隊長なのだ!」という自覚を。
- 今日は掃除するかどうか?
- やるならどこまで掃除するか?
- 汚れているところを見つけたら報告
- その汚れはいつ掃除するか?
…こんな具合に、お飾りの隊長ではなくて、本当にすべての決定権を委ねるくらいの事をしてみる。
いきなり全部を任せてしまうとママ的には「えっ!」となる事も出てくると思うんですが、ここはグッとこらえて。
「え、今日は掃除しないのですか? あそこに埃がたくさん落ちてるようです、パパが帰って来る前に埃だけでも取っておいた方が良いのでは?」
などと、あくまで「命令」ではなく「提案」をする。
その場凌ぎの中途半端ではなく、やるなら徹底的に。うちは、料理隊長はママ、掃除隊長は娘、という事で一応決めてみました。さて、これから我が家の掃除はどうなるのでしょうか?!
もし何か面白い事件(?)が起こったら、ブログで報告したいと思いますヽ(´ー`)ノ
補足
説明不足だった部分があるので補足を書きました。 bump.hatenablog.com
ライフログの歴史に軽く触れてみる
最近ライフログについて関心があったので、知り得た情報をまとめてみました。といっても、最新情報の類ではなくむしろその逆なので、期待と異なる方は回れ右推奨です。
ライフログとは
ライフログとは、人間の生活を長期間に渡りデジタルデータとして記録すること、またその記録自体を指す。
人間が一生涯に体験する情報をすべて電子的に記録したら、どのくらいの容量になるか?
— HAL ( ˘ ³˘)♥@量産型 (@bump_of_kiharu) 2016年7月8日
案外たいした事ないね… pic.twitter.com/qmgLinOzEj
インターネット上のあらゆる情報の検索が容易になった今、人間が「知識として記憶しておく必要性」は薄らぎつつあると言えます。
ただし個人の行動に基づく情報、例えば3日前に誰と会ったか?といった情報はどうでしょうか。これが検索可能になれば、それは「人間の記憶をサポートするシステム」となり得ることが出来、その最たる例がライフログです。
実はライフログの発想は、今から70年以上も前にその原型となる概念が発表されていました。
Memex
パソコンやそのユーザーインターフェイス、ハイパーテキストの概念に大きな影響を与えた、Memexというものをご存知でしょうか。
Memex(メメックス、MEMory EXtender すなわち「記憶拡張機」の略)は、ヴァネヴァー・ブッシュが1945年の The Atlantic Monthly 誌の記事 "As We May Think" (AWMT) で発表したハイパーテキストの元となったシステムの概念である。
ブッシュが想像した memex は、個人が所有する全ての本、記録、通信内容などを圧縮して格納できるデバイスであり、「高速かつ柔軟に参照できるように機械化されている」ものである。 memex は「個人の記憶を拡張する個人的な補助記憶」を提供する。memex の概念は後のハイパーテキスト開発(さらには World Wide Web の創造)や個人用知識ベースソフトウェア開発に多大な影響を与えた。
Wikipediaから更に引用すると
memex はブッシュによれば「一種の機械化された個人用ファイル兼ライブラリ」である。マイクロフィルム、乾板写真、アナログコンピュータを使い、索引付けした膨大な知識の保管所へのアクセスを可能にするもので、どんな知識でもほんの少しのキー押下で呼び出せるという
つまり、画像や動画やその他の「個人の知識」をコンピュータに保管し、必要な時に必要な知識を取り出せるような仕組みを想定しています。個人の体験が機器に残されることによって、検索対象の一部になる。つまり「人間の記憶を拡張できる」という構想でした。
これは「ライフログ」の原点とも言えます。
米MITS社が世界初のパーソナルコンピュータ「ALTAIR」を発売したのが1974年ですので、"As We May Think"が発表された1945年当時、Memexはまだまだ構想上のものでしかありませんでした。
しかし1990年代になると、実際に利用者の経験を記録したり、行動に基づいた情報検索を支援するようなシステムが研究されるようになります。
Forget me not
代表的な研究事例として、イギリスのゼロックス社によって開発された Forget-me-not というものがあります。
これは携帯型の情報システムで、利用者が常に持ち歩いていることを前提としています。
オフィス内の各所に、赤外線ビーコンのような装置があり、これと連動してForget-me-notを携帯している利用者の位置を記憶することが出来ます。また、複数の利用者の位置情報を統合することで、どの会議室にいて誰が同席していたか、といったような情報も得ることが出来るようになっています。
画面の中にアイコンで表示されているのが個人の行動履歴です。
位置情報以外にも、メールを受け取ったり、書類を出力したり、電話を受とったり、という行動が即時に記録されます。また「階段を登って会議室に入った」というような移動情報も蓄積されていきます。
このような行動履歴を情報として残しておくことで、履歴の一覧の中から「特定の人と会ったものだけを取り出す」ことを可能にしています。
例えばある会議室で交換した書類を、後からプリンターで出力するといったシーンです。人・場所・日時といった情報での絞込が可能なインターフェイスを備えています。
このように、個人の行動履歴情報を記憶して、それに基づく情報アクセスを支援しているのがForget-me-notです。さすがはゼロックスなので、動画のあらゆるシーンで書類のプリントアウトというアクションに強結合しているのが、今となってはちょっと笑ってしまいます。
個人的にこのForget-me-not の試みは面白いと思い、もう少し詳しい情報を知りたかったのですが、残念ながら目ぼしい情報はこのYouTube動画とPDFくらいしかないようです。
“Forget-me-not” Intimate Computing in Support of Human Memory http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.1.6966&rep=rep1&type=pdf
その他のライフログの試み
ライフログの代表的な研究としては、Microsoftが2002年から行っていた「MyLifeBits Project」が有名です。
MyLifeBitsでは、メール、閲覧したWebサイト、紙書類のスキャンデータ、画像、音声データ、本、音楽CDを対象として、それらを記録し、PCを使う際に起こり得るすべての電子的な動作を後からトレース可能にすることを目指したものでした。(過去形でいいのだろうか…その後どうなったのかまではは分かりませんでした)
また、視覚情報の記録には「Aided eye」があります。
見たものをそのまま記録するだけでなく、眼球の動きを捉えて「誰とアイコンタクトを取ったか」「何に興味を持ったか」といった情報にまで及ぶ記録を行うものです。
この分野も非常に興味深いのですが、眼球の動きを捉えるということはつまり「メガネ型デバイス」にならざるをえないため、一般普及には利用者の心理的ハードルが一番の課題です。(Google glassさんお元気ですか)
メガネ型デバイスについては、ライフログというよりもVR/AR方面で今後より進化していくと思われます。
現代のライフログ
さてようやく現代です。
Forget-me-not や MyLifeBits Project などを経てMemex構想から約70年、ブッシュが思い描いていた「記憶拡張機」はこのような進化を遂げました。
どうですか。
その他色々あるかとは思いますが、MemexやForget-me-not等の歴史を振り返った後にこの動画を見ると、ちょっとした感動すらあります。
一般利用では、まだ見た物すべてを記録するといった段階には来ていないですが、場所情報についてはほぼ100%記録できる時代になりました。
そして、ただ記録するだけでなく、行動履歴から必要な情報を「検索することなく先回りして」提供してくれる時代になりました。
さいごに
この内容は、放送大学の「コンピュータと人間の接点」の講義をベースに、自分なりに調べた情報をまとめました。
Google Glassや、Apple Watch 等、ウェアラブルデバイスについてはまだまだ発展途上な印象ですが、「第2のジョブス的なカリスマが、誰もがあっと驚くスゴイものを作ってくれるといいな〜と思います」みたいな小学生レベルの感想で終わります。